2024年は辛い年でもありました。土方巽の友人、知人が何人も他界されました。「土方巽を語ること」のゲストとしてお呼びできた方もいれば、お呼びできなかった方もいます。
とまれ、みなさんが土方巽の元へ旅立ったと思えば、少しは気が楽になります。
2025年1月21日。恒例の「土方巽を語ること」を行います。今回は、彫刻家の吉江庄蔵さんをゲストスピーカーにお呼びして、土方巽の舞台美術について話し合います。
吉江さんはアスベスト館で土方巽に協力して「白桃房連続公演」(1974年〜1976年)の舞台美術を手掛けられました。土方巽の作業については、踊りを中心に語られるものですが、この時期の土方巽は舞台美術も自ら考案し、優れた創造性を発揮したのです。また、土方巽が開発した特異な照明が加わることで、舞台美術は魂を込められたとも言えます。なんにせよ、舞踏手の身体、音楽、美術、照明、衣裳が一体となって、陶酔感が生まれる舞台が成立したのです。
先立つ1960年代には、中西夏之や横尾忠則、清水晃らが土方巽に美術やデザインで協力しています。それは、舞踏家と美術家との「終わりなき対話」(中西)によって、通常の演出家と美術家の関わりの矩を超えての関係をもって創造に向かったのです。
それでは、1970年代の吉江庄蔵の場合はどうだったのでしょうか。
そもそも、土方巽が舞台美術で生み出そうとした世界とは何だったのか。あの狭小のアスベスト館の舞台空間で何が行われていたのか。残されている舞台美術作品(戸板)を並べ、また記録映像を上映しつつ、土方巽と吉江庄蔵の「共同の作業」の成果を確認します。
また、土方巽が「稲妻捕りの画家」と称した清水晃の舞台衣裳を会場内で特別展観します。
2024年は舞踏公演も数多く行われ、舞踏をめぐる海外交流も一気に増えました。2025年はさらに交流が増すことでしょう。「土方巽を語ること」に参集されるみなさまとともに、あらためて舞踏の過去を訪ねつつ、舞踏の現在と未来を考える日にしたいと考えます。
【開催日時】
2025年1月21日(火)17:00開場(18:00開会―20:00 閉会予定)
【開催場所】
慶應義塾大学三田キャンパス 東館6F G-Lab(キャンパスマップ⑬)
【参加対象者】
※入退場自由
※オンライン配信あり(Zoom Webiner)
【費用】
無料
【事前申込】
事前申し込み不要
【主催・共催など】
主催:慶應義塾大学アート・センター
企画:慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ、ポートフォリオBUTOH
協力:土方巽アスベスト館、NPO法人舞踏創造資源
令和6年度 メディア芸術アーカイブ推進支援事業「1970年代以降のパフォーマンスおよび展覧会のビデオ記録のデジタル化・レコード化II」
【お問い合わせ】
慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ 担当:石本
Tel: 03-5427-1621 Email: Ishimoto[at]art-c.keio.ac.jp
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