私たちの豊かな生活は様々な材料(医薬品、建材、半導体)に支えられています。実は、ほとんどの材料は結晶とよばれる物質であり、原子や分子が周期的に秩序だって並んだ固体です。材料の性能は、構成する原子や分子の種類だけでなく、その配列にも大きく依存します。一方で、結晶は安定な固体であり、結晶状態を保ったまま分子配列に変化を与え、材料の性能を切り替えることは非常に困難でした
本研究では、光を当てると色が変わるフォトクロミック結晶を用い、加熱や蒸気暴露という外部刺激を利用した結晶の構造と物性のコントロールに成功しました。サリチリデンアニリンアンモニウム塩(SA)の有機結晶は、結晶中に含まれる分子の形状が非平面の場合に、光による色変化を示すことが知られています。私は、アンモニア水蒸気への暴露や加熱刺激によるアンモニア分子の吸脱着を利用して、結晶中の分子の平面性を変化させ、SAの光応答性を切り替えることに成功しました。
現在アンモニアはエネルギー源や水素運搬用分子として注目されています。アンモニア分子の吸脱着を利用して構造と物性を制御できることから、アンモニアセンサーなどの産業利用を含めた様々な分野でのSAの利用へ展開できます。
また本発表では、現在所属している大強度陽子加速器施設(J-PARC)について、中性子ビームを利用した実験の様子、研究にどのように活かされるかなど、簡単に紹介いたします。
【開催日時】
2025年3月10日(月)13:00〜14:30
【開催場所】
日吉キャンパス 来往舎1階 シンポジウムスペース
【参加対象者】
学生・教職員・一般
【事前申込】
必要(当日参加受付も可)
※事前申込はこちら
【費用】
無料
【主催】
慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
【問い合わせ先】
慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局(日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
office[at]sci.keio.ac.jp
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